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PDCAの定着と管理職の強化、技術の標準化が進み、これまでの経営風土を守りながら組織の再現性と生産性が高まる。

株式会社森川ゲージ製作所

社長

森川 正英氏

森川ゲージ製作所は、ゲージ(測定器)を製造する会社として昭和30年に創業。

創業者は森川社長の祖父の逸三。戦艦大和などを造っていた広島・呉の旧海軍工廠で戦艦の大砲造りにかかわっていたという。「大砲を円筒に仕上げるという仕事をしていたと聞いています」と森川社長。

戦後、昭和20年に広島から香川県三木町に疎開し、9年間地元の船のエンジンメーカーに勤めた後、昭和30年に独立した。「戦後の復興期に精密な部品を大量生産することが求められるようになり、ゲージの需要が高まったことが事業化のきっかけでした」。同社は森川社長の父・英憲が2代目として事業を引き継いだが、そんなときに起きたのが90年頃から始まったバブル経済の崩壊。建設機械など大口受注先からの受注が大幅に減少した同社は低迷期に陥った。そして、約20年前、4年連続営業赤字となっていた同社を見かねて入社したのが現在の森川社長だった。

大学卒業後、トヨタのTier 1企業に就職していたが、父の会社の危機を黙って見過ごすことができなかった。その後、大型舶用向けディーゼルエンジン部品部門の受注を開拓し、建設機械向け部品とともに2本柱として育てるなどで、危機を乗り切った森川氏は平成26(2014)年9月、3代目社長に就任する。

伝統を守りながらIPOを見据える技術者集団・株式会社森川ゲージ製作所の挑戦

四国の一角にあって、独自の高度な精密技術力でタンカーなどの大型舶用向けエンジン部品や建設機械向け油圧機器、産業機械向け特殊部品などの精密機械部品を製造・販売し、ニッチな分野ながら数多くの国内シェアトップの部品を持つ、ピカリと光る中小企業―。

それが香川県木田郡三木町で創業70年を誇る株式会社森川ゲージ製作所だ。「当社に競争相手はいません」と同社の森川正英社長(50歳)は話す。同社は約1年前に組織マネジメントメソッド「識学」を導入、コンサルティングを受けながら組織力の強化に取り組んできた。

早くも、「中間管理職のマネジメントが目に見えて改善されてきた」と成果を感じている森川社長。悩んでいたマネジメント確立にメドが付き、海外企業との直取引も視野に、“メーカー”としての体制を整えるため営業部門、品質保証部門、生産技術部門を独立・新設し、将来のIPO(株式公開)も視野に入れた成長戦略を計画する。

「識学」との出会いが、組織改革の第一歩に

「識学」を知るきっかけとなったのは?

森川様:大阪で開かれた経営者セミナーに株式会社識学の梶山啓介副社長の話を聞きに行って腹落ちできたことから、「識学」を導入に踏み切ることにしました。

もともと、「識学」については、大阪で開催されていた経営者の勉強会で知り合った方から聞いたり、株式会社識学 代表取締役社長の安藤広大氏の著書を読んだりしていました。その頃、マネジメント強化の策として大手税理士法人のコンサルティングを受けたりもしていたのですが、うまくいきません。

「識学」についても「家族的経営をやっているうちの会社に合うのかな」と正直思っていたのですが、梶山さんの話を聞いて、「識学の考え方は書籍の印象ほど極端なもの、尖ったものではない。自社の良いところは残して、必要なところを取り入れれば良いんだ」と思えるようになりました。

トップダウン経営からの脱却。組織の成長に必要だったマネジメントとは

なぜ「識学」を取り入れようと思ったのですか?

森川様:このとき私自身、自分のキャパが会社の成長をとめているのではないかとトップダウン経営の限界を感じていました。社内では、自らが100円の決済からやっていて実務に時間が取られている状況で、経営者として自分を見つめる余裕がありませんでした。

会社幹部はそれなりに育っていたのですが、いわゆる文鎮型の組織だったので権限移譲ができておらず、幹部も経営マインドを持てずにいました。こうしたタイミングで「識学」と出会ったのです。

会社の業績は順調に伸びており良かったのですが、活躍する人と活躍できない人の格差が開き、そして活躍できないまま離脱する人も多く、「業績は良くなっているのに、働く人の満足度が伴わない」というところに、矛盾を感じていました。

そんなとき起こったのが、ある男性社員の育休取得問題でした。育休制度を十分理解していなかったその社員は、子どもが生まれた後で1年間の育休を突然申請し、直接の上司であった中間管理職がどう対応していいかわからずに困っていました。こうしたことから、社内にマネジメント手法をきちんと確立する必要性を痛感していたのです。

このことが、「識学」導入を決める一番の決め手となりました。

家族的な社風を大切にしながら、「識学」を組織に取り入れる

「識学」をどのように取り入れていきましたか?

森川様:会社全体で進めていく前に、まず社長の私自身が十分に理解することが必要だと考え、「識学」のレッスンを受けました。その結果、「識学」がシンプルなマネジメントで、理論的にもしっかり確立されていることを確認し、会社全体で取り入れることにしました。

そこで、係長以上の社員約20人に「識学」のレッスンを半年間受けてもらい、現在は理論から運用へと移行している段階です。「識学」クラウドの事例も参考にしながら、『役割定義表』作りや、『姿勢のルール』の運用を通じて、日々の上司・部下間での対話を繰り返しているところです。

日々の業務の中で繰り返していくことで、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを循環させるという基本的なマネジメント手法が浸透してきています。「識学」を通じて組織のマネジメントのあり方を学ぶことは、特に中間管理職のマネジメント能力向上に効果があると思います。

また、弊社の強みである精密技術の伝承については、感覚的な職人技を数値化・可視化することで属人化から標準化へと進めています。これまで注力してきた職人の育成はそのまま継続する一方で、職人に依存せずとも運営できる両極体制を構築していきたいと考えています。

「識学」はあくまで会社の経営理念を叶えるためのツール。ですから、家族的な社風などこれからも残したいところは残しながらも、マネジメントなど必要な部分は取り入れていこうと思っています。自社の文化を損なわずに「識学」を活用する。こうした位置付けが弊社にとって重要なポイントだと考えています。

「当社に競争相手はいません」独自技術で築いた強固な事業基盤

現在の事業内容と強みは何ですか?

森川様:建設機械用油圧ユニットと、船舶エンジン部品が売上全体の半々の割合になっています。建機向け油圧機器は大半が、当社が設計開発したものです。

OEMではなくODM。名前は表に出てこないけど、開発力もある“メーカー”だという自負を持っています。船舶エンジン部品では特に三井E&S社との取引が拡大しています。

弊社は、創業当初のゲージ(GAUGE = 測る・計器)製造から培われた精密仕上げ技術が基礎となっています。戦艦の大砲の円筒を仕上げるという軍需工場での祖父の経験から技術が確立されており、これが現在の油圧バルブ製造にも生かされています。

創業期のゲージという測定器を製造してきた背景から、トレーサビリティの概念や計測の厳密性に対する深い理解を持っています。これにより、自社製品の品質管理は非常に高度です。他の企業では受けられない技術的に難しい部品の注文にも対応できるのが強みです。

船舶エンジン業界での試作部品の開発など、高度な技術を要するオーダーに対しても引き受けて、実現させる力があります。

これらの強みは、創業当初のゲージ製造から油圧バルブなどへ事業の中心がシフトしても一貫した「正確に物を測り、精密に物を作る」というコア・コンピタンスに支えられています。

売上30億円、社員150人へ。さらなる成長を目指して

将来の展望を教えてください。

森川様:現在の売上高は約12億円、社員は60人。これを近い将来、売上高30億円、社員150人規模に成長させたいと考えています。このため精密部品メーカーとして「MGWブランド」を確立し、欧州や東南アジアなどのメーカーへ直接、輸出していこうと考えています。

海外市場、特にアジアにおいて日本のメーカーへの信用は厚いので、「他でできない」という立場で交渉できる強さを持っていると思います。

会社名 株式会社森川ゲージ製作所
所在地 香川県木田郡三木町上高岡432
代表者名 社長 森川正英
事業内容 精密機器、油圧・空圧および水圧機器、建設機械用部品、舶用エンジン機器、電子部品製造装置の設計・製造・販売
企業サイト https://www.mg-w.co.jp/

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