IPOを目指す2代目が識学を導入した理由
株式会社唐沢農機サービス
代表取締役
唐澤 健之

農機具販売とWEBマーケティングを手がける株式会社唐沢農機サービス。一見想像できない、異色の事業内容を組み合わせるのは、2代目として企業の拡大を実現させた唐澤健之氏。携帯電話のカメラモジュールエンジニアという異色の経歴を持つ唐澤氏が目指すのは、世界に視野を向けた事業戦略だ。農業の可能性を信じ、IPOを目指す唐澤氏は何を見据えて、識学を導入したのか。詳しく話を聞いた。
積極的な挑戦をきっかけに多角化した事業形態
御社は社名に農機と付く一方で、
WEBマーケティングも積極的に手がけられています。
そのきっかけについてお教えいただけますか。
代表取締役 唐澤 健之様(以下、唐澤様):先代から事業を継いだ時、農機具屋として利益を出すためにはどうした方がいいのかなっていうのを考えたんです。それで、僕らの顧客である農家が儲かるようになれば、農機具が売れるようになるんじゃないかっていう単純な思考で、オンライン農産物直売所である、農家直売どっとこむというホームページを作成しました。
農家さんが作った農産物を販売していこうという試みで始めたんですけど、全く売れなかったんですよ。どれくらい売れなかったかっていうと、5000円の葡萄を売るのに、5000円の広告費を掛けないと売れない。そんなレベルでした。
あまりにも酷かったので、300万から400万くらい、お金を掛けて制作会社さんにも作ってもらったんです。それでも、全然売れないままで。もういいよ、勉強代だったと思って、やめようって思ったんです。
ただ、世の中売れてるECサイトはたくさんあるのに、なんでうちが売れないのかなと。このまま終わりにするのも癪だったので、どうせならそのくらい知ってからやめようと思ったんです。それで、ネット検索したり、ツテを辿って詳しい人に聞いたりする中で、WEBマーケであったり、アクセス解析であったり、そういうアプローチがあるということを知りました。
それで、色々試行錯誤を繰り返していったら、段々と売上があがっていったんです。それも、実績でいうと700倍くらい。最初の売上が低すぎたというのはあるんですが、かなり売上が上がったこともあり、ノウハウとして確立できてきたんじゃないかと自信がつきました。それもあって、同じような悩みとか課題感を持っている会社さんとか、ECサイトって決して少なくないんじゃないかと思ったんです.
たまたま知人に、近くの上場企業さんの広報をやっている方がいたので、タダでいいから運用させてくれないかと。そうしたら集客で成果が上がってきたので、これもう、事業にしようって始めたのが、インターネット事業部のビーズクリエイトなんです。
具体的な業務内容をご紹介いただいてもよろしいでしょうか。
唐澤様:ビーズクリエイトでは、成果達成型のWEBコンサルティングを行っています。
例えば、銀行さんがアプリを制作したとします。しかし、アプリを作ったものの、中々ダウンロードしてくれる人が増えません。我々の仕事はそのダウンロード者数を増やしましょうとか、アクティブな利用者数を増やしましょうとか、勿論ホームページとかも作るんですけれども、目的に応じた集客支援・運用代行を行っているんです。
あと、今力を入れているのはノウキナビというプラットホーム事業です。インターネットを介し、全国の農機具屋さん、農家さんを繋ぎ、新車と中古車、純正部品の販売を行っています。
IPOを目指したきっかけも聞かせていただけますか。
唐澤様:元々、先代からやっていたうちの農機具屋を継いだときに、どういう農機具屋さんにするかっていう目標を立てたんです。勿論、ビジョンもミッションも、理念もちゃんと作って、こういう風にしたい、みたいなこともあったんですけど、まず日本一の農機具屋になって、世界を目指せる農機具屋をつくろうっていう風に決めました。もしその時に、地域ナンバーワンの農機具屋になろうって思ってたら、こういう成長はなかったと思います。
IPOはその通過点。世界を目指すため、IPOを実現して、ネームバリューを上げたい。それが、一個目。二つ目は、僕たちがIPOすることで、農業に対する意識を変えたいんです。
農業って、どうしても「儲かるの?先細ってるけど?」みたいな感じで、ネガティブに語られがちなところがあるんですが、実際はその真逆。たしかに日本では人が減り続けてますけど、世界では人口が増え続けています。そして、人が生きていくために食す食べ物の多くは、農業で出来ているんですよね。
日本だとついつい農業=衰退しているという文脈で、捉えられるんですが、マーケットは沢山あって、人口が増え続ける限り成長産業であり続けるはずなんです。そういう意味でも、イノベーションを起こしていかなくちゃいけないのは、日本も同じです。そのためには、たった一人の成功者を出さなければいけないと思ってるんです。
我々のように、ど田舎で、どベンチャーで、農業業界からIPOすることができれば、それって、かなりニュース性高いじゃないですか。そうすると、『この業界でもいけるんだ』って世の中に知ってもらうことができると思うんです。そして、それが実現できれば、自然とイノベーションが起きるのかなと。そしてきっと世界は良くなる!
課題としてあった組織改革
では識学導入のきっかけはなんでしょう。
唐澤様:評価制度ですね。以前から無機質に従業員を評価したいと思っていたんです。
やっぱり僕も人間ですし、どうしても主観が入ってしまいます。たとえ評価する立場の人間を作ったところで、僕もその人を評価しなくてはいけません。ただ、どうしてもその主観が入るっていうのが嫌だったので、何か無機質に客観的な評価をするメカニズムを作りたかったんです。もともと組織で働いてる人は、ちゃんと決められたルールの中で評価されるべきかなっていうのはありました。みんな、正々堂々と同じルールの中で戦いたいじゃないですか。
ただ、それとは別軸に社長業をする中で、そういう評価に僕自身が時間を掛けることが無価値な気がしていたっていうのもありました。できればシステマチックに評価が決まっていって、僕は方針を決めるところに時間を掛けたいとも思っていたんです。
評価制度は最初、ご自身で作り上げたのですか。
唐澤様:具体的な指標と売上金額を個人に落とすようなことを行って、評価制度とかを自分達で作ろうと試みたんですけど、上手く行かなかったという部分もありましたね。識学さんとほぼ同じような感じなんですが、どうしても完全結果じゃない部分が結構多くて、数値目標に置き換えるってところが難しかったですね。しかも、それが合っているかどうかも判断出来ないというのも結構しんどかったです。
課題感を持ち始めたのはいつですか。
唐澤様:従業員が入ってからですね。僕らは今、14期目なんですけども、従業員が入り始めてから8年くらいになります。その間にちらほらと離職が発生していました。離職自体は本人の問題なので、直接問題視していたわけではないのですが、どうにも理由がネガティブなのが気になっていました。というのも、当時は「これやってね」って言って目標設定だけして、あと無法地帯みたいな感じだったんですよね。ちゃんと組織が出来ていないことの現れかなとは思っていました。
ポテンシャル採用にサーベイを活用
「採用が難しい」と仰る背景には立地が関係しているでしょうか。
唐澤様:それはよく言われるんですけど、ちゃんとプロモーションしているので募集段階では発生していません。弊社では今、エントリー数でいうと年間400エントリーくらいあります(同社リクルートサイト「ファンサイトwait」)。
やっぱり田舎でホームページ作ってる農機屋さんって、まずないじゃないですか。田舎だと特にワクワクしちゃうんですよね。で、応募者数が殺到するっていう、そういうマーケティングしているので。ただ、優秀な人材が来ないのは課題感としてあります。ですが、今は※識学サーベイ である程度ふるいにかけて対処しています。これは本当に顕著に出ます。
結局、優秀なスタッフはルールが新しく制定されても、楽しむしかないっていう感覚なんです。そこを言った所で変わらんってのはもう知っているので。結局、そのルールが入っても、自分が課せられている役割定義を達成するために、攻略法を模索し始めるんです。優秀じゃないスタッフは揚げ足を取りに来るっていう課題が最初にあったんで、識学さんの考え方が大分ハマったかなって思いますね。
識学導入後、変わったことはありあますか。
唐澤様:やっぱり、僕自身の考えですね。一番変わりましたし、そこがすべてだと思います。だからマスタートレーニングっていうのが、やっぱりあるんだなって、すごく感じました。
というのも、実は識学の導入は僕自身がやろうかなって思ったのもあるんですが、マネージャークラスに「識学入れて、社長が変わらないんだったら、もう私辞めます」って言われたのもあるんです。
僕は、自分が人を雇用するときに自分より優秀な人材を雇用しようってことを決めています。もちろんそれでも、うまくいかないときもあります。でも、優秀なスタッフがそういう意見を出すんで、「じゃあ、やってみよう」と。優秀なスタッフって、先が見えてるんですよね、きっとね。
識学導入は社員の反発や離職も起こることがあります。
御社はどうでしたか。
唐澤様:識学の導入に伴って、弊社でも姿勢のルール(100%誰でも守れるルール)を導入したんです。結構数が多かったので、講師の方からも「ちょっとずつの方がいいんじゃないか」と言われました。ですが、出来るか出来ないかで言ったら出来るんで、「やれ」っていう風に押し付けたんです。マネージャークラスにも色々言われましたけど、「とりあえずやれ」っていう風に念押ししました。
ウチのスタッフは「IPOしたい」って思いが強くて、入社してきてるんです。識学さんは創業4年でIPOしてるし、「彼らが出来たことが僕らに出来なかったら、そもそもIPOのスタートラインに立てなくね」って。
一番言ってたのは、「識学さんとやって結果が出てからじゃないと分からないから、とりあえずやろうよ」というところです。だから「とりあえずやろうや」っていう話をして、浸透させてましたね。やってみて、組織学があったうえで出来ないのは僕らのせいだけど、そもそもやったことが無いことに対して同じフィールドに立てないのは、「そもそもナシじゃない?」って。だから「やれや!」っていうことは言いましたね。
識学導入を迷う経営者がいたら、どんな言葉を掛けますか。
唐澤様:「とりあえずやってみて。とりあえずやってみな。」ですね。
「挑戦をしないやつに失敗も成功も選べないので、やったらいいじゃん」っていうことを、ホントに言いたいと思いますね。やって結果が出てからじゃないと、いいか悪いか判断できないので、そもそも机上の空論みたいな感じです。
僕は「やってみて、ダメならダメでいいし」という感じでやってみました。自分が正しいなんて欠片も思っていないので。それに金額が高いか安いかって、結局自分のものさしでしかないし、僕は結果的に安かったとは思います。識学は、組織に悩んでる方には合ってるし本当にいいと思うんで、色々な人に紹介したいですね。
会社名 | 株式会社唐沢農機サービス |
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所在地 | 長野県東御市鞍掛846-1 |
代表者名 | 代表取締役 唐澤 健之 |
事業内容 | 唐沢サービス事業 (農機具販売)、ビーズクリエイト事業 (ウェブ制作・コンサルティング)、ノウキナビ事業(農機具売買プラットフォーム)、Webメディア ツチカウ (農業情報のポータルサイト) |
企業サイト | https://www.karasawanouki.co.jp/ |