やってるアピールを解消しPDCAが回る組織へ
医療法人社団一淑会 東松原さかい歯科 矯正歯科
理事長
酒井 崇充

2016年の開院以来、「頼れる街の歯医者さん」として支持を集める医療法人社団一淑会東松原さかい歯科・矯正歯科。現在、下北沢に分院を構える他、2024年6月には沖縄にも分院を開設した。そんな同社は2022年7月から識学の受講を始めた。どのような狙いがあったのか。酒井崇充理事長に話を聞いた。
自己流のマネジメントに限界を感じていた
識学を導入する前はどのような悩みを抱えていたのでしょうか。
理事長 酒井 崇充様(以下、酒井様):もともと私一人で医院を運営していたんですけれども、ありがたいことにお客さまが増え、分院を出すためにドクターを雇い始めました。その頃からマネジメントを学びたくなったんです。歯科医院って単価が高いので、人が増えたら売り上げも勝手に伸びるだろうって簡単に考えてたんですけど、これが大間違いでした。
4人もドクターが増えたのに売り上げは変わらないまま。それだけだったらまだましでしたが、2022年には赤字になってしまったんです。要するに、人を増やしたもののドクターの意識を「売り上げ」に向けさせることができていなかったのです。完全に私が管理できていないことが原因でした…。
もちろん、ドクターには「ドクターとしての仕事」に集中してもらわなければなりません。しかし、私の立場としては、「ドクターとしての仕事」だけでなく「売上」にも意識を向けてもらえる状態を作らなければなりませんでした。かといって現状を打開する方法なんて持っていませんでした。最近流行りのフラット組織にしようか? トップダウンマネジメント? 管理職を育てる? でも、どうやって……悩みは尽きませんでした。
今振り返れば、数値ベースの管理をせず、評価制度もなかったため、うまくいくはずがありません。自己流のマネジメントは、言ってみれば部活の延長。実際、雇ったドクターは大学のラグビー部の後輩でしたから。特に、評価制度の構築には大きな課題があり、まずはそこの構築をする必要があると強く感じていましたね。
それと、院長がお酒が好きなのでよくみんなで飲み会をしていたんですが、会社が立ち上がって間もない時期ならまだしも、スタッフの数が増えるにつれ、しんどくなってきました。もちろん、飲み会を行うことで仲はとても良くなります。ですがその反面、Dr.やスタッフの勘違い(みんなフラットな関係、仲良し倶楽部、識学の理解不足によること、対等ということで、ふざけてタメ口、言うことを聞かないなど)が加速していきました。
女性スタッフも増えていたし、「これって意味ある?」と効果に疑問を抱いていたなか、コロナ禍を機に自然と飲み会が減ってほっとしていたんですが、そのうちにスタッフから、「最近ちょっと冷たくないですか。」と言われちゃって……自己流のマネジメントには限界を感じていました。
理論として体系化されていて分かりやすい
どのようなきっかけで識学をお知りになりましたか。
酒井様:あまり覚えていないんですが、SNSで見かけて識学のことを知り、資料請求したと思います。
識学以外のマネジメント法は検討しませんでしたか。
酒井様:しました。最初から「何としても識学だ!」っていうこだわりがあったわけじゃなく、会社をうまく機能させる共通言語を持てるなら何でもよかったんです。
識学以外に業界で流行っていたいくつかの人材育成メソッドを調べ、最終的に識学を選びました。識学は理論として体系化されている点がすごくいいし、分かりやすい。他のマネジメントメソッドは社員のモチベーションを高めようという方向性で、ちょっと嫌でした。
識学の導入にあたり、スタッフの皆さまから反発はありませんでしたか。
酒井様:一部のスタッフから、少なからず反発はありました。結果を出さなくてもそれなりに給料がもらえる居心地のよさを手放したくなかったんでしょう。実際、そういったスタッフの扱いには頭を抱えていました。
確かに、どうしても「識学は無理!」って人はいます。医療業界には、「医療は神聖な行為である」という考えから経営には無頓着で、自分の価値観を常に優先させるドクターは結構多いんです。もちろん、患者さまを大切にする姿勢は間違っていませんが、それで医院がうまく回わらなかったらまずいですよね。
当院でも離職者が出ました。やっぱり数字で成績を判断するようになると、結果を出していないのに高い給料をもらってる社員が肩身の狭さを感じますし、成績に応じた給与に下がっちゃったら、「もうやってられない」って思ってしまうんでしょう。ただ、結果を残している社員からの反発は一切ありませんでした。
数字を追いかけるようになり黒字化を果たす
2022年7月に識学のトレーニングを始めていただきました。
どのような変化が起きましたか。
酒井様:ルールを明確にした結果、スタッフの間に行動の指針ができ、勝手な動きをするスタッフがいなくなりました。普段から数値を入れて会話できるようになったのも大きな変化です。スタッフからは、「働きやすくなりました」という声を聞きます。
特に、評価制度がうまく機能している感覚があります。個人の利益と組織の利益が連動するようになり、ドクター陣を含めてスタッフが自分からPDCAを回すようになってきました。自分の役割を果たすために分からないことがあれば即座に質問しようとします。
私自身としては、中間管理職を飛ばして現場スタッフへ指示を飛ばさないようになりました。直接指示を出すのは、基本的に院長やドクターだけです。中間管理職を通して指示を出すことで、スタッフは「院長は冷たくなった…」と誤解し、この誤解が飲み会が少なくなった際に加速していましたね。ですが、識学への理解が浸透していくうちにこの誤解もなくなっていきました。
それから、何もかも指示しなければならないストレスから解放されました。まあ、勝手に感じていたストレスですけどね(笑)。完全に識学の理論通りに組織を回せているわけではありませんが、何とか自分たちのものにできていると思います。そうそう、最初に反発していた社員達も頑張ってくらい付いてくれています。また、組織全体としても、一皮むけました。
識学を浸透させるこつはありますか。
酒井様:私たちはマスタートレーニングと浸透パックを使い、フィードバックを受けながら改善を進めていきました。
それと、週次会議を徹底することかな。全スタッフへの浸透は簡単じゃないです。私たちだって、識学式のマネジメントを始めた頃は全然うまくいきませんでした。ルールを設定しても忘れてしまうスタッフが多くて、これには粘り強く言い続けるしかありません。
あと、こつを挙げるなら、自分の行動をどう改善すべきか分からないスタッフがいたら、具体的な言葉で落とし込む必要があることでしょうか。
業績面の影響はどうでしょうか。
酒井様:無事、黒字化を果たしましたよ。数字を丁寧に追いかけ、細かい点を詰めていった他、売上成績をスタッフ間で確認できるようにし、競争原理を働かせました。今では成績が悪いと、「このままじゃまずい」ってスタッフが自分から奮起してくれます。
どのような方に識学の受講はお勧めでしょうか。
酒井様:学ぶ意欲のある方、今よりも前に進もうとする全ての方です。
歯科医院であれば、他所と比べて目立つ何かがないと患者さまが来てくれません。技術を磨いて地域貢献を続けたいのか、分院を展開していきたいのか。後者なら特に識学の受講は有益です。マネジメントスキルを身に付けられたおかげで、2024年6月には沖縄に分院を開設予定です。いずれは、私自身が沖縄分院の診察台に立つつもりです。
会社名 | 医療法人社団一淑会 東松原さかい歯科 矯正歯科 |
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所在地 | 東京都世田谷区松原5丁目27-11 パスコマンション東松原 102 |
代表者名 | 理事長 酒井 崇充 |
事業内容 | むし歯、根管治療、歯周病、入れ歯(義歯) 、小児歯科、予防・クリーニング、歯科口腔外科、矯正歯科・小児矯正歯科、インプラント、審美治療、ホワイトニング、各種マウスピース製作 |
企業サイト | https://www.hmbsakai-dc.com/ |